他科で副鼻腔炎(ちくのう症)と言われ投薬されても治りが悪い場合は耳鼻咽喉科専門医を受診しましょう
風邪をひいた時かかりつけの内科を受診することが多いと思います。鼻水が多く徐々に色の濃い粘り気のある鼻汁になり、嫌な匂いがしたり、頬や目の奥、おでこが痛くなっていると副鼻腔炎(ちくのう症)と言われ抗生剤や消炎剤が処方されると思います。最近たくさんの薬を処方されたがこれで良いのか心配だと相談を受けることがあります。もちろん内科の先生のお薬を飲みながらきちんと鼻をかんでいれば治るようでしたら心配いりませんが以下のような場合は1度耳鼻咽喉科専門医の受診をおすすめします。
- 抗生剤を5日飲んでも症状の改善が認められない時
このような場合は耳鼻科を受診して、直接鼻腔内に薬を入れて粘膜の腫れを取り、副鼻腔の出口を拡げて鼻汁を吸引してネブライザーという霧状にした薬液を副鼻腔に吸入する治療を併用すれば治りが早いです。 - レントゲンで副鼻腔に異常を認めた時
副鼻腔のレントゲンを撮影して副鼻腔に陰影が認められた場合は内服治療だけですと時間がかかり慢性化したりポリープ(鼻たけ)があり手術が必要となる場合や、片側だけの副鼻腔炎の場合真菌症など特殊な副鼻腔炎や腫瘍が見つかる場合もありますので耳鼻咽喉科専門医の受診をお勧めします。 - アレルギー性鼻炎や喘息を合併していると言われた場合
元々アレルギー性鼻炎がある人が風邪をひいて副鼻腔炎を合併した場合はアレルギー性鼻炎の治療薬と副鼻腔炎の治療薬を併用しなければなりません。ただ、アレルギー性鼻炎の治療薬で抗ヒスタミン作用の強い薬(ポララミン、ニポラジンなど)が出ていると、かえって鼻汁がネバネバになり鼻をかんでも出しにくくなる場合があります。また、喘息を合併しているとポリープが出来ている場合があります。耳鼻科専門医を受診すれば鼻腔内をきちんと診察してアレルギーによる粘膜の状態、ポリープの有無は直ぐにわかりますので適切な薬の処方が可能です。また、小さなお子様の場合小児科専門医と耳鼻咽喉科専門医が協力して治療していかないと喘息を重症化させる恐れもありますので注意が必要です。
以前と比べると重症の副鼻腔炎は減少し治療法の改善により手術が必要となる割合は減少してきていますが、むしろアレルギー性鼻炎の合併により治療が長期間となる場合が増えています。副鼻腔炎と診断され治りにくい場合は一度耳鼻咽喉科専門医を受診することをお勧めいたします。